(解説)
1966(昭和41)年、私が高校を卒業して全酪連で働いていた時に、営業として東京23区の婦人団体を担当していました。その中でクレーム処理をしていた時に、食品に添加物や、偽装が沢山あることを知り、これからはそういったごまかしのない商品でないといけない、という思いを抱きました。
その後、有楽町の朝日新聞東京本社で働いている時に、これからは冷凍食品が脚光を浴びる時代が来ることを知りました。冷凍するから防腐剤や添加物がなくても保存できるというメリットがあることを知り、冷凍食品を扱う会社を立ち上げようと思ったのです。
東京コールドチェーンを創業した1969(昭和44)年当時も、食品の添加物に対する意識は今よりかなり低いものでした。例えば、1kgのハムを作るのに、本来は1.2kgの豚肉が必要なのに、ひどいところは600gの原材料に対して400gの保水剤と食品添加物を使って1kgのハムを作ったりしていました。だからこそ、私は、冷凍食品を通じて、お客様が安心して食べていただける、安全で美味しい商品を提供したいと思っていました。
ただ、当時は売上の規模も小さかったので、仕入先に提案を聞いてもらうことができませんでした。漬け魚を自分たちで作ろうと決めた時に、料亭の味を冷凍食品で提供できるように、料亭で作るのと同じ工程を工場で行いました。
こうして美味しい漬け魚は出来上がりました。手間をかけた分、漬け魚を“一人娘を嫁に出す父親”のような気持ちで販売していましたが、「魚の焼き方って難しいのよね」というお客様の一言を聞いて、「お客様が美味しく召し上がっていただくまでが私たちの責任だ」と、正しい焼き方で美味しく召し上がっていただくためにはどうすればいいのだろうと、社内で漬け魚の焼き方について研究したのです。漬け魚の種類によって「身を7割、皮目を3割焼いてください」といった作り方のシールを商品に貼ったり、焼き方教室を開いて、より美味しく召し上がっていただけるように努め、お客様からの支持をいただきました。
私は、我が社が扱う商品は、美味しいこと、安心・安全なことは当たり前だと思っています。
私たちは、今までにない、お客様が「すごいね、これは」と感動していただけるような商品を提供することで、お客様の健康と豊かな食文化に貢献していきます。